この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は、ある女性から激しく結婚を求められ、ある事情からその申出を断り切れず結婚に応じたが、結婚後、その女性の感情の起伏の激しさと、過剰な監視行動等に耐えられなくなり、数年前から女性と別居した状態で相談に来られた。相談の直前に、結婚に応じた理由に関連して女性が嘘をついていたことも発覚し、離婚を決意したとのことであった。
解決への流れ
当方から、離婚を請求する調停を申し立てたがすぐ不調に終わり、その後、離婚請求訴訟を提起した。相手方女性は精神的に不安定で、長期間の別居生活や調停・訴訟の経緯にもかかわらず、また自身の夫に対する監視行動を認めたにも関わらず、「まだ婚姻関係の修復は可能」との主張に終始し、離婚を前提とした和解協議には、一切応じようとしなかった。他方、相手方は、探偵を使い、男性が夜に女性と会っているところの写真を提出し、不貞行為をしている者からの離婚請求、つまり「有責配偶者からの離婚請求」は認められないという主張もしてきた。もっとも、相談者がその女性と会っていたのは別居後相当期間経過した後のことであったから、当方は、既に婚姻関係が破綻した後の出来事であるから「不貞行為」に該当せず、「有責配偶者にはあたらない。」と反論した。一審は、当方の主張を概ね認め、婚姻関係は破綻したものとして、離婚を認めた。相手方は控訴したが、控訴審も同様の結論であった。さらに相手方は、最高裁判所に上告までしたが、これは却下され、離婚を認める判決が確定した。
離婚事件においては、多かれ少なかれ当事者双方が極めて感情的になってしまうものですが、本件は、相手方の女性がかなり感情的に不安定な状態で、(原因はともあれ)婚姻関係の修復は困難であるという現実を受け入れようとせず、最後まで男性との婚姻継続にこだわったため、事件が長期化した事案です。離婚事件において、調停が成立せず訴訟で争う事案はそれほど多くはなく、特に控訴審や上告審まで行くケースは稀です。弁護士としても、極力このような事態を回避しようと努力しますが、相手のあることですので、避けがたい場合もあります。当事者にとって大変精神的な負担が大きい事態ですが、そのような案件だからこそ、ご本人を精神的にもサポートする弁護士の存在は不可欠であろうと考えます。